原題：DREAM SCAPE
本編時間：95分
制作年：1984年
制作国：アメリカ
監督：ジョー・ルーベン
脚本：デヴィッド・ローヘリー　チャック・ラッセル
製作：ブルース・コーン・カーティス　ジェリー・トコフスキー
撮影：ブライアン・テュファーノ
音楽：モーリス・ジャール
出演：デニス・クエイド　マックス・フォン・シドー　クリストファー・プラマー　エディ・アルバート　ケイト・キャプショー　クリス・マルケイ
紹介：
ゾンビ！カンフー！トカゲ人間！核爆発！これが僕の理想世界！夢の中でしか自己実現できなかった孤独な青年と彼を政治利用しようとする役人の醜悪さを描いたSFポリティカルスリラー。
他人の夢の中に侵入できる特殊能力を持った青年。悪夢に苛まれる大統領を救う為、彼は封印したはずの能力を解放し、夢の世界へダイブするが…。
クリストファー・ノーラン監督『インセプション』の元ネタとも言われる本作。物語は大統領を救おうとする青年アルバートを軸に展開するが、この映画の真の主人公と言えるのは、アルバートと同じドリームダイブ能力を備えた青年トミーである。現実世界では小柄で恋人も友人もいない彼が、その能力を買われ、大統領暗殺を目論む役人に利用されてしまう。彼の作り出す理想の夢世界に登場するのはゾンビにトカゲ人間、そしてカンフーの達人になっているトミー（現実世界の彼の部屋にブルース・リーのポスターが貼ってあるのに注目してほしい）。これはまさしくこの映画を観ている我々自身ではないのか？思春期は誰でも、核戦争後の世界でゾンビやミュータントと戦うカンフーの達人になった自分を夢想したことがあるはずだ。トミーが「夢の中では俺がキングだ！」と叫ぶ場面はあまりに痛々しい。夢＝映画の世界に入っていけることは本当に素晴らしいのだろうか。映画はスクリーンを通して眺めることにこそ意味があるのではないのか？映画の見方を考えさせてしまう作品である。
主演は『インナー・スペース』でもミクロ化した体で人体へ潜入する役を演じ、人体潜入の演技に定評のあるデニス・クエイド。ヴィッド・ローヘリーと共に脚本を担当するチャック・ラッセルは後に『ブロブ/宇宙からの不明物体』『マスク』『イレイザー』の監督を手掛けることになる。